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ドクターズブログ

ためしてガッテンでムチン点眼が紹介されました。

副院長の湖崎亮です。久しぶりにブログを書きます。

先日、NHKのためしてガッテンでドライアイが特集され、今、当院では、ムチン点眼が欲しいと聞かれる患者さんが増えています。


皆さん、ムチン点眼と言うだけでなく、その薬品名も覚えてらっしゃる。恐るべしNHK。メディアの影響は大きいです。ただ、番組について、内容を見てみると、2200万人いるドライアイ患者すべてが、ムチン点眼によって、視力が上がる可能性があるというのは、ちょっと言い過ぎのような印象を受けました。番組で評価に用いた指標は実用視力ですが、この実用視力は、まだ、一般的に眼科全体で評価されているわけではない指標で、普及しているわけではありません。番組を見ると、今にも、視力が上がる印象を持たれる方もいらっしゃると思いますが、乱視や近視、遠視のある人が、ドライアイ治療のみで眼鏡なしの生活になるわけではありません。ただ、ムチン点眼は、新しい作用機序を持つドライアイ治療薬として、注目されているのは確かです。


ここでは、少しムチンについて、お話したいと思います。まず、涙についてですが、角膜(黒目)の表面は、水をはじく性質(疎水性)で、細菌などの病原菌が眼内に侵入するのをブロックするようになっています。ただし、栄養や酸素などは、涙から供給されますので、その疎水性の角膜に涙が乗りやすくなるために角膜や結膜の表面には、ネバネバした物質(ムチン)が覆っています。簡単に言うと、ムチンは化粧のファンデーションの役目と同じで、ファンデーションで化粧乗りが良くなると同様、ムチンで涙乗りがよくなると考えていいと思います。その上に、酸素などを含んだ涙液の水層、最表面の空気に接する部分には、涙の蒸発を防ぐ効果のある油(油層)が浮いています。


ムチン



ドライアイには、涙腺の働きが悪いため水層の量が少なくておこる涙液の量的異常(涙液減少型)と、涙液の水層の量は正常でも油やムチンなど各層のバランスが悪いためおこる涙液の質的異常(涙液蒸発型やBUT短縮型)がありますが、ムチン点眼は、BUT(Break up time; 涙液層破壊時間)が短くなるBUT短縮型ドライアイで効果があると報告されています。このBUTとは、染色液で涙液を染めてから、患者さんに目を開きっぱなしにしてもらって、何秒で涙液の乾いた部分(ドライスポット)が現れるかを測る検査で、診察中、簡単に測ることができます。


現在、2種類のムチン点眼が発売されておりますが、各々特徴が違います。世界で始めてのムチン点眼は、参天製薬が開発したジクアス点眼(ジクアホソルナトリウム)で、作用はムチンを分泌する結膜のゴブレット細胞の働きを良くして、ムチンを産生させるだけでなく、細胞内からの水分もしみ出てくるとのことです。無色透明ですが、1日6回点眼する必要があり、ちょっと、患者さんは6回というのが戸惑うかもしれません。大塚製薬から発売されたムコスタ点眼(レバミピド)は、もともと、胃粘膜保護の内服薬ムコスタから点眼に開発されました。作用機序は角膜上皮のムチン遺伝子発現を亢進して、結膜のゴブレット細胞も増やす効果があり、メーカーが言うにはちょっと抗炎症作用があるとのことです。1回使い切りの点眼容器で1日4回とジクアス点眼より回数が少なくて、いいのですが、試しに点眼してみると、かなり白い薬剤で、視界が数十秒かすんでしまいました。また、喉に薬剤が降りてくると苦いです。


でも、両方とも効果が期待できるいい点眼ですので、扱いにくさはありますが、番組のおかげで、お勧めしやすくなりました。もちろん誰にでも効くわけはではなく、また、効果が出るには1ヶ月くらいかかる印象ですので、患者さんの理解が得られれば、これからも試していこうと考えています。


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